個人事業主から法人化のデメリットは?後悔することある?
税理士のよしむらともこです。
法人・個人事業主の税務顧問として多くの事業者様をサポートする傍ら、WEBマーケティングのオンラインコース運営や2024年3月には東京北参道にソーシャルグッドギャラリーをOPENするなど、事業運営者としての経験も持ち合わせています。
日々、様々な事業形態や業種の方々と関わる中で、法人化の判断は事業の将来を左右する重要な岐路だと実感しています。
法人化にはそれぞれ適したタイミングがあります。また、デメリットもしっかり理解しないと後悔することも・・・
この記事では、私の経験と専門知識を活かし、法人化で後悔しないためのポイントを詳しく解説していきます!!
目次:気になるところだけ読む
後悔しない!なぜ今、法人化の検討が必要なのか?
法人化には「適切なタイミング」があります。早すぎても遅すぎても後悔する可能性があるのです。
私の経験上、法人化を検討する方の多くが以下の理由で会社設立を考えています:
- 社会的信用を向上させたい
- 優秀な人材を確保したい
- 節税効果を得たい
これらは確かに法人化の重要なメリットです。
法人化すると規定が法律により定められる分、社会的信用度が上がるので、仕事の受注率が上がったり銀行の融資が受けやすくなったりします。さらに、社会的信用度が上がることで優れた人材の確保もしやすくなり、更なる事業拡大を目指すことが可能です。
また所得税の税率よりも、法人の税率の方が低い場合は節税にもなるので、法人化した方が有利にはたらく場合があります。
<所得税の税率表>
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※引用元:国税庁|No.2260 所得税の税率
<法人税の税率表>
課税される所得金額 | 法人税率 |
---|---|
800万円以下 | 15% |
800万円超 | 23.20% |
ここまでが法人化のメリットです。次の章では、法人化をして後悔しないためにも、個人事業主から法人化する際のデメリットについて解説していきます。
個人事業主から法人化のデメリット
1.社会保険料の負担が増加
個人事業主の場合、従業員が5人未満であれば社会保険への加入は任意です。しかし、法人化すると社長1人でも強制加入となります。
具体的な影響:
- 社長の社会保険料が新たに発生
- 従業員の社会保険料の半額を会社が負担
- 人件費の実質的な増加
特に従業員がいる場合は、個人事業主から法人化すると従業員の社会保険料も半分は会社負担で、半分は本人負担となります。つまり、給料+社会保険料をあわせて人件費の負担を考えなければいけません。
ただし、会社設立後しばらくは役員報酬を低めに設定することで、社会保険料を抑えることも可能です。
2.設立費用の発生
個人事業主でビジネスをはじめられる際に何か特別な手続きはされましたか?また、その時、お金はかかりましたか?税務署に開業届を出したくらいで、費用も特には発生しなかったのではないでしょうか。
個人事業主の開業時には、税務署への届出程度で済みましたが、法人設立には以下の費用が必要です:
- 定款認証費用:約5万円
- 登記費用:株式会社の場合:15万円~/合同会社の場合:6万円~
- その他諸経費:数万円
合計で、15万円~30万円程度の初期費用を見込んでおく必要があります。
3.事務負担の増加
法人化後は以下の業務が新たに加わります:
- 詳細な会計記録の作成
- 株主総会・取締役会の開催
- 各種届出書類の作成・提出
法人の場合は、会計も現金出納帳や預金出納帳、総勘定元帳など作成資料が多くなります。また、法人の規則などは株主総会や取締役会で決議することになり、社長1人だけの会社でも株主総会は開催しなければなりません。
そのため、個人事業主よりも処理が複雑になり、その結果、専門家の依頼事項も増え、報酬が増えることになります。
4.専門家費用の増加
主な専門家費用として:
- 税理士報酬:年間30万円~(売上1,000万円規模の場合)
- 司法書士報酬:法人設立時等のスポット対応
- 社会保険労務士報酬:従業員雇用時等
月額1万円程度の格安プランもありますが、多くの場合、追加料金が発生するため、実質的な年間費用は同程度になることが多いです。
司法書士報酬は、法人設立の際の定款の作成・認証と設立登記申請や事務所の移転のときなど、スポットでお願いすることが多いです。弁護士は、契約書レビューなどでスポットでお願いすることもありますが、顧問弁護士をつけるのは、スモールビジネスの場合は、なにかトラブルが起きてからつける方が大半です。法人化して1番先に顧問契約するのは、一般的には税理士が多いのではないでしょうか。
法人税の申告書は個人の所得税の確定申告書に比べて複雑なので、知識のない方がご自身で作るのは、かなりハードルが高いです。税理士報酬は、売上の規模などにもよりますが、売上が1,000万円くらいまでで、年間30万~が大体相場になってくると思います。よく月9,800円~などみかけますが、かなり手薄なサービスか、もしくは何かある度にオプションで追加請求されるので、結局年間30万くらいになると聞きます。
5. 初年度の税負担増加
これは特に重要なポイントです。法人化初年度は以下の税金が重複して発生します(法人の進行期と個人事業時代の最終年度の税金が同時に納付時期が来るため)
- 法人で納付の源泉所得税
- 個人事業の住民税(前年度分)
- 個人事業の事業税(前年度分)
- 法人税・地方税(法人化後の期間分)
6.赤字でも税金がかかる
個人事業主は、赤字の場合は税金は発生しません。
法人の場合は、赤字の場合、法人税の納付は必要ありませんが、地方税の納付は必要となります。
住民税均等割といって、会社がある都道府県や市区町村に納める税金で、その存在自体に課税され、毎年最低7万円の住民税が必ず発生することになります。失敗しないための法人化のベストなタイミング
ベストなタイミングの目安
「500万円」という基準値は税率面で法人税の方が有利になりはじめるラインだからです。
理由:税率面でのメリット
例えば、利益500万円の場合:
- 個人事業主:所得税20%
- 法人:法人税15%(800万円以下の部分)
ただし、これはあくまで目安です。利益が500万円以下でも、事業の成長性や社会的信用の必要性によっては法人化が有効な場合もあります。
法人化の手順と準備期間
法人化自体は2-3週間程度で完了できますが、焦る必要はありません。以下の順序で計画的に進めることをお勧めします:
Step1: 事前準備(1-2ヶ月)
- 会社名の決定
- 事業計画の作成
- 資金計画の策定
Step2: 法人設立手続き(2-3週間)
- 定款作成
- 公証人役場での認証
- 法務局での登記
【登記に必要な書類】
- 登記申請書
- 定款
- 発起人の同意書(決定書)
- 登録免許税納付用台紙
- 代表取締役・取締役の就任承諾書
- 代表取締役または取締役全員分の印鑑証明書
- 委任状(司法書士や代理人に申請を委任した場合)
- 印鑑届出書
- 資本金の払い込みを証明する書面
Step3: 各種届出(1ヶ月)
- 税務署への届出
- 年金事務所への届出
- 銀行口座開設
Step4: 実務移行(3-6ヶ月)
- 取引先への通知
- 会計システムの移行
- 業務フローの調整
個人事業主から法人化する際の手続きの手順! 必要書類や費用を解説!
よくある質問(Q&A)
この章では、法人化に向けてよく出る質問に回答していきます。
Q1: 法人化に最低何人の発起人が必要ですか?
A1: 1人で設立可能です。定款に発起人として記載する必要があります。
Q2: 法人化に最低何人の発起人が必要ですか?
A1: 1人で設立可能です。定款に発起人として記載する必要があります。
まとめ:法人化成功のための3つのポイント
焦らない
- まずは売上・利益の安定化を目指す
- 2-3週間あれば手続き可能なので、慌てて判断しない
計画的な準備
- 特に初年度の税金対策は重要
- 余裕を持った資金計画を立てる
専門家の活用
- 税理士に事前相談
- 必要に応じて司法書士も活用
法人化は事業の成長における重要なステップですが、タイミングと準備が成功のカギとなります。この記事で解説した内容を参考に、慎重に検討を進めていただければと思います。
法人化のベストなタイミングは一度専門家に相談するのもオススメ
法人化は事業の成長において重要な選択ですが、「焦らず」「計画的に」進めることが成功への鍵となります。まずは、売上・利益の安定化を目指し、計画的な準備を進めることをお勧めします。
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それでは。
※本記事の内容は2024年4月時点の情報に基づいています。法改正等により内容が変更される可能性がありますので、具体的な手続きの際は専門家にご相談ください