【徹底解説!】個人事業主の事業計画書の書き方と内容|基本の8項目を解説
個人事業主が開業するときや年度はじめには、事業計画書を書くのがおすすめです。事業計画書って難しそう、具体的には何をどうやって書いたらいいの?という疑問を持ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下のことについて解説しています。
- 事業計画書を書く目的
- 事業計画書の具体的な内容
- 事業計画の考え方
- 事業計画書の書き方
事業計画書は順を追って情報を集め、事業をどのように育てていくかを計画して作成します。そうすることで、融資や投資を引き出すことに成功するのはもちろん、事業を進める上での大切な指針にもなってくれます。
この記事を参考に、情熱を持ちつつ着実に事業を成長させるための事業計画書を書いてくださいね。
事業計画書の目的
事業計画書を作成する目的は大きく分けて2つあります。
1.融資や投資を受けるため
2.自分自身のため
事業計画書と似た言葉に、創業計画書があります。事業計画書の目的について詳しく説明する前に、事業計画書と創業計画書について確認しておきましょう。
創業計画書とは
新しく事業を始める方が書く事業計画書のことです。
では、事業計画書の2つの目的について、詳しく見てみましょう。
1.融資や投資を受けるため
事業を始め、継続する上で、融資や投資を受ける場合があります。
融資は銀行や信用金庫など民間の金融機関や、日本政策金融公庫、ソーシャルレーディングなどから事業用の資金を調達することです。融資された資金は、返済の義務があります。
一方、投資は返済の必要がない資金の調達方法で、個人投資家やベンチャーキャピタルなどから資金提供を受けます。投資家は、事業が利益を上げた際に得られる配当金を期待して資金を援助する人たちです。
融資 | 返済の義務がある |
銀行 信用金庫 日本政策金融公庫 ソーシャルレーディング など |
投資 | 返済の必要がない |
個人投資家 ベンチャーキャピタル など |
融資や投資を受ける場合には、始めようとする事業や継続する事業の将来的な発展性、収益性を確信してもらい、融資や投資を決断してもらう必要があります。このために必要となるのが事業計画書です。
金融機関や投資家に、事業の継続的な成長を信頼してもらう必要があるからです。
2.自分自身のため
事業をスタートして長期的に成長させるためには、事業の目的や理念、業界の状況や競合他社の分析、どんな商品やサービスを提供するのか、売上や経費、仕入先や販売先は具体的にどこかなど、事業の概要から詳細までしっかりと把握する必要があります。
起こりうる困難を可能な限り想定し、どんな状況にでも対応できるように、念入りな準備をするためです。
事業をどのように成長させるか、具体的な手段や方法について目に見える形にすることで、自分自身の計画を客観的に見て、冷静な判断をするための手段を手に入れることができるのです。
事業計画書の内容と考え方・書き方
事業計画書には、決まったフォーマットがありません。
また、創業を積極的に支援している日本政策金融公庫が提供する創業計画書は、日本政策金融公庫のウェブサイトでExcel版とPDF版がダウンロードできます。
さらに、日本政策金融公庫のウェブサイトでは、洋風居酒屋、美容業、中古自動車販売業、婦人服・子供服小売業、ソフトウェア開発業など9種類の業種ごとに事業計画書の記入例が見られますので参考にすることをおすすめします。
事業計画書に記述する基本的な内容は、次の8項目です。日本政策金融公庫のフォーマットに沿って解説しますね。
1.理念・目的・創業の動機
2.代表者の経歴・キャリア
3.商品・サービスの強み、アピールポイント
4.取引先
5.従業員
6.借入状況
7.資金計画
8.収支計画
1.理念・目的・創業の動機
- 事業を始めようと思った理由
- 事業をとおして実現したい理念
- 事業を行う上での根本的な目的
を記入します。
事業を始めようとする際、過去の実績がないケースも少なくないでしょう。このとき、事業を始めようと思った動機や、理念、目的などが社会の役に立ち、共感を呼ぶものであれば融資や出資を得やすくなります。
2.代表者の経歴・キャリア
代表者の経歴やキャリア、資格などは、事業の成長を左右する要素です。
例えばヘアサロンをオープンする人が、美容学校に行ったあと、有名なヘアサロンで勤務した経験がある、実家がヘアサロンだったといった背景があれば、そのヘアサロンの経営が順調に軌道に乗る可能性は高いですよね。
3.商品・サービスの強み、アピールポイント
記入項目としては
- 「取扱商品・サービスの内容」
- 「セールスポイント」
- 「販売ターゲット・販売戦略」
- 「競合・市場など企業を取り巻く状況」
があります。
多数の競合他社がいる業界では、競争が激しいために融資や投資を引き出すことが難しいこともあるでしょう。そこで、商品やサービスの強みやアピールポイントを端的に分かりやすく説明する必要があります。
実際に記入する際には、事業の全体像が誰にでも分かるように、具体的、客観的に書きます。
「販売ターゲット・販売戦略」を簡潔に説明するには、「誰に、何を、どうやって」提供するかを意識するといいでしょう。言葉で説明しづらければ、事業の全体図を描いてみたり、サービスの流れをイラストにすると分かりやすいかもしれません。
業界の動向や同他社の状況についても調査し、分析しておく必要があります。業界の動向や他社の状況について知るためには、一般の新聞や業界紙、専門誌のほか、官公庁や業界団体、金融機関などが発表している統計データやレポートを活用しましょう。
4.取引先
取引先には、販売先・仕入先のほか、場合によっては外注先が含まれます。創業前から取引先が決まっていれば、信頼性が高まり融資や投資を受ける際に有利になるでしょう。
掛取引では、支払い、請求ともに実際の取引日から遅れてお金が動きます。このため、資金繰りに大きな影響がありますので、早めに売掛金が回収できる仕組みができれば理想的です。
5.従業員
役員や従業員、パート従業員などの人数を記入してください。
6.借入状況
代表者に借入金があれば、詳細を記入しましょう。
借入金は、事業用の借入金のほか、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなどがあります。
7.資金計画
設備資金・運転資金を合わせた必要資金と、必要資金を調達する方法について記載しましょう。
必要資金については、業者に見積もりを取るなどして具体的で詳細な金額が必要です。資金の調達方法には自己資金のほかに、親や兄弟、友人知人からの借入であればその内訳、その他の借入があれば詳細を記入します。
資金計画のポイントは、必要資金と、調達方法の合計金額を一致させることです。
8.収支計画
収支計画は、事業の見通しを月ごとの売上と経費をもとに作成します。
売上計画については、商品やサービスが1日に何個売れるのか、営業日数は何日かが分かれば、1月の売上が分かりますね。ここで大切なのは、1日に何個売れると見積もる根拠です。
例えば、過去に自分が同じ条件で仕事をしていた場合の売上個数で考えたり、すでに取引先との契約を交わしていれば、売上を証明する確実な証拠になりますね。
経費については、売上計画に基づいた商品・サービスを提供するために必要な原価や人件費、広告費などを計算します。それぞれの金額についても、具体的に数字の理由が説明できる状態にしておきましょう。
まとめ
個人事業主が事業計画書を書く目的やその内容、考え方・書き方について解説しました。
事業計画書は、融資や投資を受けるときはもちろん、着実に業績を上げるための指針となる重要な書類です。短時間で簡単にささっと作成できるものではありませんが、必要な情報を集めてじっくり取り組む価値があります。
融資や投資を引き出すためにも、長く順調に事業を発展させるためにも、しっかりとした事業計画書を作ってください。