個人事業主の共同経営、4つの方法とメリット・デメリットを検証!
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個人事業主として事業を始めるときに、友人や知人と共同経営したい、経済的にも事業の広がりの面でも共同経営に興味がある、という方がいらっしゃるかもしれません。
個人事業主が共同経営をするなら、どんな方法があるのでしょうか。また、共同経営を検討するときに理解しておくべき、それぞれのメリット・デメリットにはどんなものがあるでしょうか。
この記事では、以下のことについて解説します。
- 個人事業主が共同経営するときの4つの方法
- それぞれのメリット・デメリット
共同経営を考えている個人事業主の方はぜひ参考にしてください。
個人事業主が共同経営する4つの方法
個人事業主が共同経営をする方法は、4つあります。ここでは2人の友人同士が共同経営するケースを例に考えることにしましょう。
①2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む
②1人が代表となってもう1人に外注する
③1人が代表となってもう1人を雇う
④有限責任事業組合を作る
ここからは、それぞれについて、順番に
- どのような方法で事業に取り組むのか
- メリットとデメリット
もあわせて詳しくご紹介します。
①2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む
共同経営したい2人が、双方とも個人事業主のまま1つの事業に取り組む方法が、「個人事業主が共同経営する」と言ったときのイメージにもっとも近いかもしれません。
1つの事業に2人がそれぞれ個人事業主として取り組むため、取引先との契約はそれぞれが結ぶことになります。個人事業主としてはそれぞれの売り上げが明確で、立場的にどちらかが上となることもありませんので、シンプルで分かりやすい形です。
ただし、メリット・デメリットで解説するように、クライアントに売り上げ金額を50%ずつ入金してもらう対応を受け入れてもらえるかどうかが大きなポイントとなります。
メリット
2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む場合のメリットは、2人がそれぞれ個人事業主となって別々にクライアントと契約を結ぶため、ビジネス上フラットな関係であり、客観的な公平感を保てることです。
デメリット
2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む場合のデメリットは、本来は1人に依頼する1つの事業を2人で請け負う形になるため、クライアントに2人別々に支払いをしてもらうなど、通常と異なる対応を依頼する必要があることです。
またオフィスや店舗を借りたり、他社との契約が必要な場合など、通常であれば1人で対応するところを、2人に対応してもらうのは現実的に難しい場面も少なくないでしょう。
②1人が代表となってもう1人に外注する
1人が代表となってもう1人に外注する方法も、「2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む方法」と同様に2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む点は同じです。ただし仕事を受けるときには、片方が代表となりもう1人は外注先として仕事を請け負う形を取ります。
この形であれば対外的にクライアントやオフィス・店舗の賃貸契約などの際に通常と異なる対応をお願いする必要がなく、売り上げを半分にする形で共同経営は可能と言えるでしょう。
メリット
1人が代表となってもう1人に外注する場合のメリットは、2人ともが個人事業主として仕事を続けられることです。
また、「2人が個人事業主のまま1つの事業に取り組む方法」のデメリットである、対外的な場面の困難が解消できる点もメリットです。具体的には、クライアントや他社との契約の際に1人の代表者が対応できるので、通常の契約と同様に問題なく契約できます。
デメリット
1人が代表となってもう1人に外注する場合のデメリットは、2人の関係にビジネス上、上下関係が生まれることです。最初に代表を決める際も、もめる可能性があります。
また、お互いに個人事業主同士とはいえ、仕事を発注する側と受注する側となれば、契約を打ち切ったり、報酬の変更がないとは言えません。
さらに、代表となった側の負担が大きくなる可能性が高いため、長い年月ビジネスを続ける上では、不公平感につながるかもしれません。代表者が何らかの理由でビジネスを続けられなくなった場合には、外注される側が改めてクライアントや他社との契約を結ぶ必要がある点も懸念点となりえます。
③1人が代表となってもう1人を雇う
1人が代表となってもう1人を雇う方法は、「②1人が代表となってもう1人に外注する方法」の1人が代表となってもう1人に外注する方法よりもはっきりと、ビジネス上の2人の関係が上下関係である形と言えるでしょう。
雇用する人と雇用される人では、労働法上の扱いが異なります。また個人事業主と従業員では税法上の扱いも変わってきます。具体的には、雇用される人には、残業代や有給が保証されるのに対して、雇用する側には残業、有給といった概念はありません。
メリット
1人が代表となってもう1人を雇う場合のメリットは、「②1人が代表となってもう1人に外注する方法」と同様、対外的に、クライアントや他社との契約の際に1人の代表者が対応できるので、通常の契約と同様に問題なく契約できる点です。
デメリット
1人が代表となってもう1人を雇う場合のデメリットは、上下関係が生まれる点、代表者がビジネスを続けられなくなった場合には雇用される側が新たにクライアントや他社と契約を結ぶ必要がある点です。
それに加えて、個人事業主と従業員とでは労働法上も税法上も扱いが異なるため、不公平感が生まれる点が大きなデメリットとなります。
また、外注か雇用かというのは、実体をみて判断されるものですので、ご自身が外注です!雇用です!とそうしたいからという理由だけで決められるものではありません。
④有限責任事業組合を作る
有限責任事業組合(LLP)は、株式会社や合同会社よりも制約が少なく、法人税を納める義務のない組織です。組合を作ることで、売り上げや経費を組合が管理し、組合員として税金を払うため、個人事業主が平等に利益を配分して、共同経営したい場合には最適な方法と言えるでしょう。
ただし、組合の設立や管理運営には費用がかかります。また、日本で有限責任事業組合の適用が始まったのは2005年で設立例が多くありません。
メリット
有限責任事業組合を作る場合のメリットは、法人税を払わずに法人と同様の信用力が持てることと、個人事業主と違って、法人同様の有限責任が認められていることです。有限責任であれば、ビジネス上のトラブルが起こった際にも個人が損害賠償をする必要がなく、最初に組合を作る際に出資した分以上の責任を問われません。
また、売り上げと経費、納税額を半分ずつとすることができるため、不公平感がない点も大きなメリットです。
デメリット
有限責任事業組合を作る場合のデメリットは、会計処理が煩雑で税理士などの専門家が必要な点、組合の設立や管理費用がかかる点です。
また、会計処理も複雑となりますし、株式会社に変更することができません。法人格がないので、いったんLLPを解散してから株式会社を設立する必要があります。
個人事業主が共同経営する際の注意点
個人事業主が共同経営する4つの方法と、メリット・デメリットについて解説しました。最後に、個人事業主が共同経営する際の注意点についてご説明します。
個人事業主が共同経営する際の注意点は、数年単位でビジネスの将来を見据えた上で、起こる可能性のあるトラブルを想定し、実際にトラブルが起こった場合の対処方法を明文化しておくことです。ビジネスが上手くいっているときだけでなく、不調な時期のことも細かく考えて、十分に備えましょう。
さらに、株式会社を作る場合に出資率を50%ずつではなく、意図的に51%・49%とすることがあるのですが、この理由は事業上の判断に迷う事案が起こった場合に、最終的に決定権を持つ人を決めておくためです。このように、2人で事業を行う際には意見がまとまらず、問題が起きた際にトラブルが長引く可能性がある点も、おさえておくべきでしょう。
まとめ
個人事業主が共同経営する際の4つの方法と、それぞれのメリット・デメリット、また共同経営する際の注意点について解説しました。
個人事業主が共同経営する方法は4つありますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、共同経営は容易なことではありません。一方、現実に共同経営で長年にわたってうまく事業を続けてらっしゃる方々がいらっしゃるのも事実です。
個人的に特に重要だと思うのは、最初にしっかりとルールや細かい費用負担、配分などをきめることです。そして、それを記録にのこしましょう。仲がよいから、細かいことはきめなくても大丈夫!というのは、おすすめしません。人間関係って常に変動しているものなので、いい時も悪い時もあると思います。なので、ずっと、うまくやっていくためにも、しっかりと細かい条件等をきめてから、スタートしましょう。
個人事業主で共同経営を考えている方は、4つの方法と、メリット・デメリットをよく検討して、最適な方法を見つけてください。